【Pharma IT 2025 講演報告】
3H P-Guardianの概要と実績、ePROの臨床的有用性について発表

先日開催された「ファーマIT&デジタルヘルス エキスポ 2025(Pharma IT 2025)」において、ITソリューション統括マネージャー が登壇(セッション番号:4B-09)しました。
『ePRO介入による全生存期間(OS)延長と救急外来・入院の減少が示す臨床的有用性 ―事例に学ぶePRO活用と導入のポイント』と題し、弊社開発のePRO(電子的患者報告アウトカム)システム「3H P-Guardian」の活用がもたらす臨床上のメリットについて講演いたしました。

■ 講演概要:ePROシステム「3H P-Guardian」概要と実績

本セッションでは、日本におけるePRO活用のハードル(スマートフォン操作への不慣れ、導入期間、費用、マイグレーションの煩雑さ、入力率への懸念など)やこれらの課題解決を目指して開発された弊社ePROシステム「3H P-Guardian」について、その開発経緯と実績をご紹介しました。

「3H P-Guardian」は、がん情報サイト「オンコロ」を通じて患者さんや研究者の意見を反映し、高齢者や視覚に配慮が必要な方でも直感的に操作しやすいインターフェース(文字サイズ、配色、チュートリアル機能など)を追求しております。

また、ノンコーディングでの環境構築、質問票作成・配信が可能なためスピード導入低コストを実現しました。さらに、版権調査・マイグレーション・Linguistic Validationサポートヘルプデスク・フォローデスクによる個別サポートやスマートフォン・タブレットレンタルといった提供サービスにより、導入・運用のハードルを低減します。

講演では、ePROの積極的な介入が、患者さんの全生存期間(OS)延長に寄与し、さらに救急外来受診や入院回数を有意に減少させる可能性について、具体的な事例(ONCOLO Virtual Studyなど)を交えながら解説しました。

■ 伊那中央病院 黒澤先生による研究成果のご紹介:ePRO利用と予後の関連

さらに、セッション内では、伊那中央病院 腫瘍内科の黒澤彩子先生にご協力いただき、弊社ePROシステムを活用したがん薬物療法患者における有害事象モニタリングに関する研究成果を、ナレーション付きスライド形式でご紹介いただきました。

黒澤先生のご発表によると、傾向スコアを用いた背景調整等の詳細な検討を行った結果から、ePROモニタリング参加者は非参加者と比較して、有意に生存割合が高く救急受診回数と予定外入院回数が低かったという結果が得られました。この結果から、「年齢や疾患だけでは説明がつかない”予後予測因子”がePROを使えるかどうかに反映されている可能性」が示唆されました。

また、「予定外来を待たずに体調を確認できたことは患者さんのメリットにつながった」との考察も述べられ、「3H P-Guardian」を用いたePROの導入と運用が、実際の臨床現場において患者さんの治療成績向上に貢献し得ることを強く示す、大変意義深い内容でした。

Kurosawa, S., Koike, K., Arai, T., Yoshida, S., Ito, M., Kuriyama, Y., Kitahara, M., Rokuhara, T., Yamaguchi, T., & Takeuchi, N. (2024). Feasibility and usefulness of symptom monitoring with electronic patient-reported outcomes: an experience at single-center outpatient oncology clinic. Supportive care in cancer : official journal of the Multinational Association of Supportive Care in Cancer33(1), 3.

■ 収集から活用へ:ePROがもたらす価値

今回のPharma IT 2025での発表は、ePROシステムが単なる患者報告アウトカム(PRO)の収集ツールに留まらず、そのデータを活用した介入によって、患者さんのQOL(生活の質)向上はもちろん、生存期間の延長といった臨床的な有用性をもたらし得ることを示す重要な機会となりました。

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ファーマIT講演の様子

弊社は今後も、ePROシステムの開発・提供を通じて、患者さん、医療従事者、製薬企業の皆様を繋ぎ、医療の質の向上と発展に貢献してまいります。

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